「ヒトパピローマウイルスワクチン(HPVワクチン)について はじめに」は3章あります。
これからこのワクチンについて説明する記事のおおまかな内容です。
ヒトパピローマウイルスワクチン
現在(2017年1月)わが国において、複雑な状況に置かれているワクチンがあります。それはヒトパピローマウイルスワクチン(HPVワクチン)です。
このワクチンについては、「恐ろしい」という印象が流布してしまい、ワクチンそのものについては正確に知られていないのが現状ではないでしょうか。
このワクチンを正しく知り、必要性を理解してもらえるようにと思ってまとめてみました。
ワクチンの呼び方について
専門家を対象にした記事などを除いて、一般的な報道では「子宮頸がんワクチン」あるいは「子宮頸がん予防ワクチン」と呼ばれることが多いと思います。
このワクチンの最終的な目的のひとつは「子宮頸癌」の発生を抑制することなので、この名称でも間違いではありませんが、実際のはたらきはHPVの感染を予防することです。ここではこのワクチンを「HPVワクチン」と呼びます。
「子宮頸がんワクチン」、「子宮頸がん予防ワクチン」などのように、ワクチンの名称の中に「子宮頸がん」といった表記があると、それだけでなにか怖いものという印象を植え付けてしまうかもしれないということも心配しています。
いまではHPVが原因となる癌は子宮頸癌だけではないこともわかっているので、「子宮頸がんワクチン」というより「HPV関連癌予防ワクチン」と呼ばれるべきです。
さらにHPV感染は、癌以外にも皮膚や粘膜の「いぼ」などの病気にも関連しているので、やはり「HPVワクチン」が最も適切な呼び方だと考えます。
ワクチンの効果
HPVワクチンは、HPVの中でも特定の型のウイルス(HPV16型やHPV18型など)の感染を防ぐことで、HPV感染が原因となる子宮頸癌の前の段階(前癌病変)が発生しないようにするワクチンです。
前癌病変が生じなければ、それに引き続いて起こる子宮頸癌も発生しません。
推定によると、欧米ではこのワクチン接種によって子宮頸癌の発生が8割以上減少すると考えられています。
日本では少し事情が異なるので、減少は約7割ほどに留まります。
ただ、日本人を対象にした解析では、若い女性ほどワクチンによる高い子宮頸癌抑制効果が期待できることがわかっています。
最後まで読んでいただいてありがとうございます。
次回はワクチンと子宮癌検診との関係などについてまとめます。